琉球・沖縄の世界を翻刻する

コレクション: 琉球大学所蔵 琉球・沖縄関係資料 vol. 1

鳥島移住始末 - 翻刻

鳥島移住始末 - ページ 17

ページ: 17

翻刻

し十分に懇篤に納得せしむる事にした其人々は島で先覚者に昌せられた者で 吏員乃議員の連中や重なる有志者であった夫々の相談の済み次第に再び島民 大會は開かれたが其時は一人の異議者もなく全會一致を以て移住する事に決 定するに至たった此度は明治十五年以来の聴議であった移住勧誘の□を奏し たのである 一、移住を可とし移住論を主張する人々が理由とする概要は左の通りであった  一、鳥島は土地□なく住民多く之を養ふ丈の生産物がない己に紫に現在に    於て困難を□り二三の人々は沖縄又は徳の島等へ移り生活の運命を新    に開拓せんとするのは島住居の苦痛に堪へずして移住する人を生じた    為ると云ふ事である  二、沖縄本島にあれ離島にあれ人智の進歩を計る為に学校の設備があって(26)    小学校より順次中学校に進み分相應に智識を研ぎ世間並に進む事□亦    立身出世も出来る然るに鳥島には読み書き算術の出来る者は五指を屈    する程にもない夫れでは日に月に駿々の勢で進歩発展しつつある世間    と智識も何も益遠ざかり後れる事が甚しいから是非相當の所に移住し    て子弟教育の便を開き世間並に後れずに進歩発展して是まで世間で度    外視せられたる鳥島人民も人の為にも□すようにならなくてはならぬ    と云ふ事である  三、猫額大の孤島の悲さ海にも陸にも物産至て少なくどんなに努力奮発す    るも限りある区域より産出する物産は何程にもならず□令多額の物産    が生ずるとしても航路に搬出に□費に不便で労多く利薄し図りて他地    方と財力の競争を為すが如きは夢だに想ふ事は出来ぬ髄て島民各自の    経済□□にし生活を向上せしめ安全にすることは幾歳月を経るも到底(27)