翻刻
心あまりて詞たらす吟詠なきは
書もらし侍りぬほゐなさ又いつ
をか期せんと老の懞昧を悔るのみ
生駒氏の芳堂にやとりして三十日余
長生不死の薬もものかはと歓楽を
極侍りぬ中にも都一見の調度の
かす〳〵舟よ竹輿よと深きこゝろさしは
拙き筆にも言葉にも及ひかたし此興
つきる期あらねとかねて願い侍りし
日の限もあなれは船の便りを求めて
帰郷に趣く事になりぬいさゝか微意を
のへて厚情を謝するのみ
前の世にいかなる種のえにしにて
かゝる情にあふそ嬉しき
■冠子より消息ありてさま〳〵
送りものありける猶しもこま〳〵
詞書ありて
ふたゝひの柳の外にふかみ艸