徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

花土産 - 翻刻

花土産 - ページ 31

ページ: 31

翻刻

  ときこえけれは 枝の蛙の身にあまる花と韻を継   かくて中の六日の夜船に乗りぬ   翌早天出ふね 碇まく【見せけち=て】聲きやうし【興じ】水主の者   鳴尾の沖にて 夏雲や御城も塔も余波なく   此日帆うらを打てやう〳〵翌暁   谷河へ入湊登の節のやとりを報て 見し花の枝折忘れて夏木立   一天雲なくして日和ます〳〵うらゝ   なりけれは此さとの氏神に詣て   風を祈り大悲閣に登て嵐を   ねかひ其辺り徘徊して日を暮しぬ   此夜の月もろともに船を出す帆風   すゝしくあけの日巳の刻はかりわか   郷の山の木立もみゆる計にして   俄に風あめをさそひて波高く