翻刻
やどをおほせ付(つけ)られ候て。
たび給へと。さもあり〳〵と
申しければ。中(ちう)しやうれしく
おぼしめし。此とし月いろこ
のみし侍りしかばかやう
の人にあはんとの事にてこ
そ有つらん。よし〳〵たれに
てもあれ。これもせんせの
しゆくえんとおぼしめし。こ
なたへいらさせたまへとて。わ
が御やかたへともなひ。御めのと
にかすがのつぼねに。おほせ
つけさま〳〵にこそ御もて
なし。かしづきたまふ事。申
はかりはなかりけり。そのゝ
ち。をの〳〵やすみたまへば。
いとゞ中しやうどのあこがれ
させ給へば。ひめぎみの御/枕(まくら)に
よりそひて。かやうのまよ
り。二/世(せ)ならぬさき〳〵のき
えんとこそおもひ侍れ。何(なに)
と御こゝろふかくのたまふと
も。このうちをばいだし申
まじとて。さま〳〵御ことの
はをつくし給ふ。もとより
ひめは。たくみたることなれ