← 前のページ
ページ 94 / 104
次のページ →
翻刻
いとあはれに心はつかしうおほされて
宮はしらめくりあひける時しあれは
わかれし春のうらみのこすないとなまめかしき【しっとりとして美しい】御
ありさまなり院【故桐壷院】の御ために八講【注】おこなはる
へきことまついそかせ給ふ東宮を見たて
まつり給にこよなうおよすけさせ給て【格別に成長なさって】めつらし
う【なかなかお会い出来ないことと】おほしよろこひ給へるをかきりなくあはれ【立派だ】と
見たてまつり給御さ え(え)【才能】もこよなく【格段に】まさらせ
給て世をたもたせ給はんにはゝかりあるまし
くかしこくみえさせ給入道の宮にも御心す
【注 「八講会」の略。法華経八巻を八座に分け一巻ずつ講讃する法会】