翻刻
【右頁】
あき(秋)なすび( 茄子 )わささ( 早酒 )の かす(糟)に つけ(漬)まぜ(和)て
よめ(婦)には くれじ( 不養 )たな(棚)に おく(置)とも(雖)
此歌(このうた)の《振り仮名:出-処|しゆつしよ》何(いづ)れの書(しよ)なるやいまだこれを弁(わきまへ)ずといへ
とも《振り仮名:古-人|こじん》の歌(うた)にして拠(より)どころなきにしもあらず《振り仮名:秋-茄|しうか|あきなすび 》毒(どく)
あるの意(い)なるべし
【左頁】
水斳(すゐきん|せり )《割書:本-草綱-目》
《振り仮名:春-夏|しゆんか|はるなつ 》毒(どく)あり《振り仮名:野-辺|やへん| のべ 》《振り仮名:溝-瀆-中|こうとくちゆう| みぞのうち 》に生(しやう)ず葉(は)《振り仮名:一-茎|いつきやう》に《振り仮名:数-葉|すうえふ》《振り仮名:辺-歯|へんし|きれこみ 》有(あ)
り夏(なつ)茎(くき)を抽(ぬきん)で《振り仮名:小-白-花|せうはくくわ》を開(ひら)く醋(す)に和(くわ|まぜる)して食(しよく)すれば歯(は)を
損(そん)ず《振り仮名:妊-婦|じんふ|はらみをんな》これを忌(いむ)べし多(おほ)く食(しよく)すれば《振り仮名:堕-胎|だたい|ながれる 》す《振り仮名:商-陸|しやうりく|やまごばう 》芥(かい|からし)
鼈(べつ|すつほん)と《振り仮名:同-食|どうしよく》すべからず
現代語訳
【右頁】
秋茄子を早酒の糟に漬けて和えて
嫁には与えず棚に置くとも
この歌の出典がどの書物なのか、いまだにこれを判別できないけれど
も、古人の歌であって根拠がないわけでもない。秋茄子に毒が
あるという意味であろう。
【左頁】
芹(スイキン|セリ)《本草綱目》
春夏に毒がある。野辺や溝の中に生える。葉は一茎に数葉あり、縁に鋸歯がある。
夏に茎を伸ばして小白花を開く。酢に和えて食べると歯を
損なう。妊婦はこれを忌むべきである。多く食べると流産する。商陸(ヤマゴボウ)、芥子(からし)、
鼈(すっぽん)と一緒に食べてはならない。
英語訳
【Right Page】
Autumn eggplants pickled and mixed in early sake lees,
Though placed on the shelf, not given to the daughter-in-law.
The source of this poem - from which book it comes - has not yet been determined,
but as it is a poem by the ancients, it is not without basis. It likely means that autumn eggplants have
toxicity.
【Left Page】
Water Celery (Suikin|Seri) 《Bencao Gangmu》
It has toxicity in spring and summer. It grows in fields and ditches. The leaves have several leaflets per stem with serrated edges.
In summer it extends its stem and opens small white flowers. When mixed with vinegar and eaten, it damages the
teeth. Pregnant women should avoid this. Eating too much causes miscarriage. It should not be
eaten together with pokeweed (yamagobo), mustard, or soft-shelled turtle.