翻刻
寄(よ)り給へと肩(かた)へ手(て)をかけ引(ひき)よすればむらさきはいとゞなをおそろしくもはづか
しくも思(おも)ふものから身(み)もふるひ顔(かほ)にあてたるふりの袖(そで)つゝむにあまる上気(じやうき)の
色(いろ)むねとゞろかすばかりにて只(たゞ)あい〳〵さへ口(くち)のうちあどなきとりなり可(か)
愛(あい)さにそのまゝじつとひきしめて顔(かほ)をかくせし振袖(ふりそで)をむりにおしのけ恥(はづ)
かしがる口(くち)をチウ〳〵吸(すひ)ければ顔(かほ)はます〳〵火(ひ)のごとくむねはどき〳〵手元(てもと)さへ
ふるうばかりの初事(ういごと)ながら日蔭(ひかげ)の豆(まめ)も色付(いろづく)としごろいかにおぼこの生(さ)
質(が)とはいへどはやそろ〳〵と玉茎(なまもの)のかたちも見(み)たく生(なま)ごゝろもしきりに
催(もよほ)す真最中(まつたゞなか)おさな心(ごゝろ)に日頃(ひごろ)よりよいとのごじやと思(おも)ひそめ馴(なれ)まつわり
てしたひたる其(その)男(おとこ)に抱〆(だきしめ)られうれしさこはさはづかしさ。気(き)もうはづりて
わく〳〵するを男(おとこ)はせかずそろ〳〵トせななでさすりいろ〳〵トおさなき心(こゝろ)にあ
ふようなるはなしなどしかくるにすこしは心(こゝろ)おちつくよりいつしかうるほふ心(こゝろ)
の水(みづ)。ひよつと男(おとこ)が知(し)らうかト心(こゝろ)ではぢらうそのけはひそれとさつして