翻刻
【右丁・挿絵】
角觝人(すまふとり)
【左丁】
相撲使(すもうとり) 角抵(かくてい) 膂力(りよりよく)
相撲(すもふ)は当時(とうじ)は下賤(けせん)の業(わさ)なれども古昔(いにしへ)は暦々(れき〳〵)にも有しこと也 其(その)
上(かみ)乃見宿弥(のみのすくね)と当麻撅速(たいまのくゑはや)といふに 勅命(ちよくめい)有て禁中(きんちう)に
て 上覧(しやうらん)あり宿弥(すくね)は菅相承(かんしやうしやう)【菅丞相ヵ】の先祖(せんそ)也 其時(そのとき)撅速(くゑはや)
まけたり此相撲(このすもう)は強力(がうりき)の輩(ともから)は習(なら)ひても苦(くる)しからず
いかんとなれば其心懸(そのこゝろかけ)有(ある)輩(ともから)は戦場(せんしやう)に於いても組合(くみあい)等に
及(およ)んても其助(そのたすけ)となること挙(あけ)て算(かそ)ふべからず取手(とりて)柔術(やはら)
等は甲胃(かつちう)の上(うへ)よりは中(あた)らさることもあり然共(しかれとも)一 條(てふ)にもいひ
かたし是(これ)は斟酌(しんしやく)有べし抑(そも〳〵)相撲の功者(かうしや)に至(いた)りては剛柔(がうじゆう)
虚実(きよじつ)は勿論(もちろん)第一(たいいち)に我身(わかみ)を堅固(けんこ)にして勝(かつ)こと先(さき)に