翻刻
のなり老度【壱度】に桑を掛蚕下去り老様【壱様】に心掛へし雨しつ北かせ
甚よろしからす
十二 やとひ様の事
まふしへやとひ入る時上へふるは悪し随分内え入へし陽虫なれは
登る事易く下る事は不自由なる虫なりやとひは綿/帽子(ほうし)
のことく箙(ゑひら)の上へ糸をひく也又あつくやとらは大に損なり
然共/薄(うす)く入るは難成もの也年の心覚専要也當時取
扱山箱五十二三枚壱枚掃の蚕よき加減也箙しめり無
き様に気を付へし藁をしめしてまふしを折事不宣
気を可附/肝要(かんよふ)也
十三 箙取扱ふ事
箙は梁(はり)の上え揚随分乾く様にすへし上下の間すくよふに置
べし第一の手段也桑休の時節に替る事なし世俗箙は暖に
して能事を知り煙(けむ)出しをふさき大暑にも火を多くたくは
種に白粒(しらす)有来年変有事をしらす暖に風のすく手段
予 秘術(ひしゆつ)也煙出しをふさかす一間々々え一日切に上ケ三夜冷気な
れは四夜置一間切おろす也/梁(はり)の上え久敷置不宣繭の内ひ
ひすにならさる内は暖気障りなきもの也化して後暖気に臭
の込事不宣何程よき蠺にても種に変有事此時の心得なり
別て屋根/低(ひく)き家抔は気を付へき第一也又曰小麦わら抔にて
ふきたる家は湿気日の気入易く不宣也蚕屋天井板の
上へ箙上る事甚不宣前に書たる通り暖気に風の吹
通す様にすべき事第一の手段なり
十四 繭(まゆ)取扱之事