翻刻
取たるは間違有へし併敷ものゝ倹約(けんやく)抔にて座敷へ使?へ置抔は能手段なる
べし二/階(かい)にて種を取も手段次第にて障(さわる)へからす年の順気不順気
にて手段勘弁有事故/委敷(くわしく)不記
十六 生種取扱之事
蚕種は取扱肝要也何程当蚕にても種々の取扱ひ/疎末(そま [つ] )にて間違ふ
事有事也蛾を掃落し即(そく)時に羽こみを吹拂ひ壱弐枚ツゝ立置/翌(よく)く
朝(あさ)は中端へ糸を付長押の邊掛へし随分低く掛る様に心掛扁し
日光指込所火の気近き悪し■ては節遅く取る種は涼(すゝしき)所にて日数を
経(へ)る色替る様に手段有へし併湿気深き所風の入さる陰気勝なる
所甚悪し多く取種は大きく棚をそり【つり?】わり竹【割竹】を細に壱弐枚ツゝ
立置事宜し種そりかいり【反り返いり】下の方重みかゝる故折々手かへし
いたし大暑ならは折々大団扇を以あほく扁し手入大切の
もの也三四枚つゝ貫(つら)ぬき低く掛る事肝要の手段なり又曰乾きらぬ種
を箱え入持/歩行(あるき)抔/不宣(よろしからす)随分気を付べし又曰青み種の時重りの
かゝりたるは出よとみになるもの也内書の墨不乾産付たるも出よ
とむ事有気を附べき第一なり
十七 掃(はき)種/吟味(きんみ)之事
種は地をしめてさへ能々粒そろい白粒/溢(こほれ)種無之種の足強く油
有を能種と心得へし色は土地によりて品々有ものなり随分気を
付見覚すへし自分の手段にて飼たる種にも変(へん)ある事也繭に
死籠多く尤白粒あり溢粒有て種さへす足/弱(よは)きは桑休の内
湿當り蠺又はまふしに息(いき)籠り暑気にむかひたる病なり掃種
を取替へし繭の撰方にて白粒出さいごの生るゝ事も有随分気
を付/掃(はき)種大切に心掛へし併此書のことく取扱て変ある事