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涼敷(すゝしき)為致候哉 答(こたへ [て] )曰涼敷は湿気あり甚よろしからず烟(けむ)出し
を塞(ふさ)かず風の行渡(ゆきわた)る様に暖気にすべし焼火甚よろし
然共大暑のせつは勘弁(かんべん)あるべき事前文之/如(こと)く揚(あけ)て三夜は
暑気/不苦(くるしからす)ひゞすに化(け)して後は甚/痛(いたむ)べきなり去(さ)る年ある
家にて箙(ゑひら)を揚し後/雨湿(うしつ)有之日/故(ゆへ)烟(けむ)出し雨戸等を塞(ふさ)き
四五夜の間/悉(こと)〳〵焼火(ひをたき)暖にす箙(ゑひら)をおろし見るに甚/宜(よろ)
しひゞす不残(のこらす)死(し)す其年長雨にて繭乾兼(まゆかはきかね)るに此家/斗(はかり)
は不乾さりし種取候心掛る家の嗜(たしなむ)べきの肝要(かんよう)也前文に書たる
如く幼少蚕の時桑/休(やすめ)と同し取扱と心得べし
廿四 山中(やまなか)桑の答
一或曰山中/野間(のま)桑は蚕やわらかに種見事ならさるに是を
用る事 如何(いかん) 答て曰種/色(いろ)黒く和(やわ)らかに見るもの也/然(しかれ)共
さわりには曽(かつ)てならす幾年もよくためしたり山中の桑よろし
からさるやうに言事心違なり繭/勝(かつ)てよろし糸目多し糸筋も
甚よろし紗/綾(あや)羽二重すへて軽(かろ)目の絹類は山根の蚕よろし桑さ
はりたるは糸筋あしきまゆの目方は出来る物也しかれとも山桑
は和(やわ)らかなる故蚕取扱ひに手段有也蚕下たまりやすし必下た
まれは油/断(たん)ならざるもの也種の色悪敷併障る事なし川筋
の桑に勝(すく)る事にはあらず
廿五 陽気扱の事
一或問て曰陽気の取扱に戸を明て蚕下乾と塞て乾くと如何(いかん)
答曰肝要の事也幼少飼ひの時桑の遍の掛るに戸を明風を入るれ
は蚕下生かへる故湿気發る桑休めはかけさる故風の透てもしつけ
を□らす蚕下能/乾(かわ)き悪敷/臭(にほ)ひ不籠かよろし敷か不宣なり