東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

續英雄百人一首 - 翻刻

續英雄百人一首 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

我国(わがくに)の古(いにしへ)より神明(しんめい)の威徳(ゐとく)を信(しん) 敬(きやう)するもの御/恵(めぐみ)をかふむること すくなからず中にも天満大自 在天神は威霊(ゐれい)いちじるく萬(ばん) 機(き)を輔佐(ほさ)し文道を守(まもり)給ふ 御神なり好文木(こうぶんぼく)の名ある故(ゆへ)歟(か) 神慮(しんりよ)に別(べつ)して梅(うめ)を愛(あい)し給ふ されば神詠(しんえい)にも  梅あらばいやしき賤(しづ)がふせやまで  われたちよらん悪魔(あくま)しりぞけ また匂(にほ)ひおこせよと詠じ賜(たま)ひ て御愛樹(ごあいじゆ)も御跡(あと)を慕(した) ひ空(そら)をかけりてとびきたる など是(これ)心誠(しんせい)の不思議(ふしぎ)なる べし然(しか)るに世(よ)も末(すへ)になり 建久(けんきう)二年の春(はる)鎌倉(かまくら)の武(ぶ) 士(し)九州の押領使(おうりやうし)となり 爰(ここ)に来(きた)り梅(うめ)の枝(えだ)を折(おり) けるに其(その)夜(よ)の夢(ゆめ)に神人(しんじん) あらはれて 〽なさけなく折(をる)人つらし我宿(わがやど)の   あるじわすれぬ梅のたち枝(え)を 此神詠に彼(かの)武士 恐驚(おそれおどろ)き 後悔(こうくわい)して御 詫(わび)を申上 丹(たん) 誠(せい)を抽(ぬきん)で祈(いの) りしかは御 咎(とがめ)を 免(まぬが)るゝことを 得(え)たり誠(まこと)の 道(みち)といへる古(ふる) き教(おしへ)にそむか ず文雅(ぶんが)に心 ざしある輩(ともがら)は うるはしく神(しん) 徳(とく)を仰(あほ)ぎ敬(うやま)ひ 御恵(おんめぐみ)の幸(さいは)ひを  ねがふべき     ことなり