東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

續英雄百人一首 - 翻刻

續英雄百人一首 - ページ 6

ページ: 6

翻刻

右大将(うだいしやう)頼朝(よりとも)卿(けう)世の政事(まつりごと)を とりて文を左にし武を右にして いにしへの法(ほふ)を兼(かね)そなへ敷嶋(しきしま)の 道(みち)に心がけ深(ふか)く春(はる)の花のあし た秋(あき)の月 夜(よ)ごとにつけて 物の興廃(こうはい)もしるゝは歌(うた) なりと八雲(やくも)の風を慕(した)ひ 陣中(ぢんちう)にも詠吟(えいぎん)たえず 文治(ぶんぢ)の末(すへ)陸奥(みちのく)の夷(えびす)を 退治(たいぢ)せんと大軍を卒(そつ)し 名取(なとり)川を渡(わた)り給ふ時(とき) 〽頼朝がけふの軍(いくさ)に名とり川 と詠ぜられ梶原(かぢはら)附(つけ)にとあれば 〽君もろともにかちわたりせん 景季(かげすへ)言下(ごんか)に是をつけけれ ば感(かん)じ給ふ事ひとかたならず かつまた白川(しらがわ)の関(せき)を越(こえ)給ふ時 関(せき)の明神(めうじん)へ奉幣(ほうへい)をさゝげ 景季(かげすへ)をめして当時(たうじ)初秋(はつあき)へ 能因(のういん)法師の古風(こふう)思ひ出 さるゝなり一首 仕(つかまつ)れとあり ければ 〽秋風に草木(くさき)の露(つゆ)を    払(はら)はせて   君がこゆれば     関守(せきもり)もなし 鎌倉(かまくら)どの聞召(きこしめし)て 槊(ほこ)を横(よこ)たへて生死(せうし) の街(ちまた)にありても風雅(ふうが) を捨ざるはいと優(やさ)し と引出物(ひきでもの)あまた たまはりぬ数(す)万(まん) 騎(き)の中に一人 面目(めんぼく) をほどこすこと  歌(うた)の徳(とく)有(あり)がたき    ことといふべし