東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

續英雄百人一首 - 翻刻

續英雄百人一首 - ページ 57

ページ: 57

翻刻

【右上】 北條(ほうでう)左京大夫/氏政(うぢまさ)は氏康(うぢやす)の嫡(ちやく) 子(し)也/文武(ぶんぶ)をかねたる将(せう)にしてよみ歌 もあまたあり松契多春(せうけいたしゆん)の題(だい)にて〽ま もれ猶(なほ)の歌はよめりおなじく松の題(だい)にて  〽うつし植(うへ)し二/葉(ば)の松(まつ)のことしより   みどりにこもる春(はる)はいくはる  〽いく春を契(ちぎ)りおきてか住吉(すみよし)の   はま松(まつ)がえのみさほなるらん 氏政氏康の名跡(めうせき)を継(つぎ)て一代の間(あいだ) 合戦(かつせん)多(おほ)し所謂(いはゆる)里見義弘(さとみよしひろ)するがの 今川(いまがは)上杉(うへすぎ)武田(たけだ)何れの歒(てき)にも鉾(ほこ)を 争(あらそ)へども自国(じこく)を掠(かすめ)られし事(こと)なく 五代百/余年(よねん)家(いへ)を治(をさめ)られしかども 天正にいたり上/洛(らく)延引(ゑんいん)のことについて 太閤(たいかう)の心に違(たが)ひ合戦に及(およ)び天運(てんうん)に 叶(かな)はざる所あるゆゑにや落城(らくじやう)して天 正十八年七月十一日/生害(せうがい)の時/辞世(じせい)  〽ふきとふく風なうらみそ花の春   もみぢの残(のこ)る秋(あき)あらばこそ 【右下】  北條氏政(ほうでううぢまさ) まもれ 猶(なほ) 君(きみ)に ひかれて 住吉(すみよし)の 松(まつ)のちとせを 万代(よろづよ)のすゑ 【左上】 小早川筑前守(こばやかはちくぜんのかみ)隆景は元就卿(もとなりけう)の 三男なり毛利家(まうりけ)三家の内にて芸(げい) 州(しう)より東南(とうなん)の方を附(ふ)せられ九州/発(はつ) 向(かう)の時は先鋒(せんぼう)の大将たり毎度(まいど)戦場(せんぜう) に向(むかつ)て堅(かた)きを砕(くだ)き哀憐(あいれん)をたれて其智(そのち) 勇(ゆう)朝鮮(てうせん)までも轟(とゞろか)せし将なりさしも軍(ぐん) 慮(りよ)に賢(かしこ)き秀吉(ひでよし)公すら播州上月(ばんしうかうづき)又 は馬野山対陣抔(うまのさんたいぢんなど)には両川の智勇(ちゆう)に は舌(した)を巻(まき)て陣を払(はら)つて退(しりぞか)れたり中国 和睦(わぼく)の後(のち)は秀吉公/敬(うやま)ひしたしむことひと かたならず此哥は上/洛(らく)の砌(みぎ)り聚楽(じゆらく)の御(ご) 所(しよ)にて月の宴(えん)の折(をり)から詠(えい)ぜしなりその 節(せつ)太閤/或公卿(あるくげう)と碁(ご)を囲(かこみ)給ひしにむ づかしき石続(いしつづき)にていろ〳〵御/工夫(くふう)あれども 御手につかへ給ふ御/見物(けんぶつ)の歴々(れき〳〵)いかがせ させ給ふらんと詠(なが)め居(ゐ)たりその時/太閤(たいかう) これは小早川が智恵(ちゑ)にてもかなふまじ と宣(のたま)ふ此/詞(ことば)をもつても隆景(たかかげ)の英智(えいち) の程を押(おし)はかりてしるべし 【左下】  小早川隆景(こばやかはたかかげ) 治(をさま)れる代(よ)を こそ仰(あほ)げ 九(こゝの) 重(へ) の 今宵(こよひ)の 月(つき)を見るに 附(つけ)ても