東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

續英雄百人一首 - 翻刻

續英雄百人一首 - ページ 8

ページ: 8

翻刻

【右頁】 後醍醐天皇(ごだいごてんわう)重祚(てうそ)まし〳〵てのち都(みやこ)は合(かつ) 戦(せん)のちまたとなれば吉野(よしの)山に入り給ひ仮(かり) 宮を皇居(くわうきょ)としてあらたまの年立(としたち)かへ りても節会規式(せちゑぎしき)のさまもいとかなし く春(はる)もはやなかば過(すぎ)て御/庭(には)の桜(さくら) もやゝ咲(さき)出しを御 覧(らん)ありて 〽爰(こゝ)にても雲井(くもゐ)の桜さきにけり  たゝかりそめの宿(やど)とおもへど かく遊(あそば)していともわびしく過(すぎ)させ 給ふに世の中なほも騒(さわが)しく楠(くすのき) 新田(につた)名和(なわ)北畠(きたはたけ)の諸将等(しよせうら) 一致(いっち)して朝敵(てうてき)足利(あしかゞ)の勢(せい)を追(おひ) 退(しりぞ)け防戦(ふせぎたゝか)ふといへどもさらに 干戈(かんくわ)の休(やすま)る時なく此/皇居(くわうきよ)に 日(ひ)を重(かさ)ね給ふに折(をり)しも五月(さみ) 雨(だれ)ふりつゞき淋(さび)しさ増(まさ)る山 里(さと)に供奉(ぐふ)の人々も袖(そで)の かはけるひまもなく雨(あめ)も をやみなくふりつゞきければ 【左頁上段】 後醍醐天皇(ごだいごてんわう) 筆(ふで)を 染(そめ)させ   給ひ 〽此さとは  丹生(にふ)の 川 上(かみ)ほど  ちかく いのらば  はれよ さみだれ  のそら 斯(かく)詠(えい)じ 給ひしより 忽(たちまち)空(そら)はれ るのみか日(ひ) 影(かげ)うらゝかに なりしは御威(ごゐ) 徳(とく)といひ 御製(ぎよせゐ)といひ     ⊖ 【左頁下段】 ⊖ いみじく わたらせ 給ふ ことを 人〴〵 皆感(みなかん) 心(しん)せり