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【右丁】
あつまのかたにまかりけるに八はしにてよめる
《割書:千載》八はしのわたりにけふもとまる哉こゝにすむへきみかわと思へと 道因法師
《割書:続古今》恋せんとなれる三河の八はしのくもてにものをおもふころかな よみ人不知
《割書:玉葉》さゝかにのくもてあやうき八はしをゆうくれかけて渡りかねぬる 安嘉門院四条 法名阿仏
《割書:新続|古今》八橋を行人ことにとひ見はやくもてにたれをこひわたるそと 堀川院中宮上総
《割書:同》たひ衣はる〳〵きぬる八はしのむかしのあとに袖もぬれつゝ 為家
《割書:千五百|歌合》五月雨にかけのみ残る心地してそこにみゆるや沼のやつはし 越前
《割書:堀川|百首》さゝかにの蜘手にみゆる八はしをいかなる人かわたしそめけん 肥後
《割書:藤川|百首》年月もうつりにけりな柳かけ水ひし河のすえのよのまつ 定家
《割書:夫木》八はしのみとりの草をくりかけてくもてにわたる玉柳かな 俊成
《割書:同》 ほとゝきす待しわたらは八橋のくもての数に声をきかはや 俊頼
《割書:同》 駒とめてしはしはゆかし八橋のくもてに白きけさの淡雪 順徳院御製
【左丁】
《割書:同》 八橋のあたりの里の秋風にきつゝ馴にし衣うつなり 中務
かきつはたすれる衣の露かけて遥々きぬる松の八はし
みな人は夢の世わたる八はしのくもてに何をとひ侘らん
八はしにいつか来にけん行水のくもてに咲るかきつはたかな
《割書:海道記》すみわひて過る三河のやつはしを心ゆきてもたちかへらはや 鴨長明
《割書:平家|物語》夢にたにかくて三河のやつはしをわたるへしとは思わさりしを 源中納言師仲
いにしへをしのふあわれやたひころも袖もしほれて渡る八はし 遊行上人一法
《割書:三河|八代記》思ひきや名のみくちせぬやつはしの海沢三川に袖ぬれんとは 親氏御内室
かの草と思ひしきものはなくて稲のみみゆる
《割書:海道記》花ゆへに落しなみたの形見とや稲葉の露をのこしおくらん藤原光行
春のころ八橋見んといひけれとさはる事有てまからて
《割書:紀行》よそなからくものはたてにかけて思ふその八橋の春の夕暮 烏丸光広【廣】