翻刻
十日はかり守(まも)れは/小食(しやうしよく)の白(しら)かゆ甚(はなは)だ風味(ふうみ)うまくなりて
元気(けんき)衰(おとろ)ふものにあらず腹中(ふくちう)の工合(くあひ)よくなるゆゑ食(しよく)
すゝむやうになるものなり其時(そのとき)が養生(やうじやう)の大事(たいじ)なり全快(せんくはい)して
何(なに)ほど食すゝむとも急(きう)に食物を増(ま)さず弥(いよ〳〵)病人の快(こゝろよき)を
考(かんが)へて七日めほどつゝぐらゐに白粥(しらかゆ)一椀の四ツ割(わり)一ツ分程
づゝ増(まし)て常体(しやうてい)の体(からだ)となり常(つね)の働(はたら)き出来(でき)るやうになり
ても少(すこ)しひかへて定食(ぢやうしよく)をきはめてむら喰をせぬがよし
右此/養生(やうしやう)女(め)の子算(こざん)をよく読(よみ)まもれば長寿(てうしゆ)のみに
あらず五倫(ごりん)の道(みち)もたち家業繁昌(かぎやうはんじやう)子孫長久(しそんちやうきう)の
基(もと)ひを開(ひ)らく道に近(ちか)からん乎(か)と爾云【云爾とあるところ】
附録
凡/道(みち)に志(こゝろざ)す人も家(いへ)貧(まづ)しけれは妻子(さいし)眷属(けんぞく)の礼も
自から斉(とゝの)はず世間(せけん)の人にも思はす不義理(ふぎり)多くなり
易(やす)し又/冨(とむ)といへども道(みち)を弁(わきま)へざれば内外(うちと)の事に付て
無理(むり)多く人の恨(うら)みを請(うく)る事/少(すく)なからず只人(たゝひと)は常に
家業(かぎやう)に怠(おこた)りなく倹約(けんやく)をよく守(まも)り入(いり)を計(はかり)て出るを
節(せつ)にすれば世帯(せたい)の大小に拘(かゝ)はらず親族(しんぞく)和合(わがう)して
家(いへ)よく斉(とゝの)ふべしよく道(みち)に叶(かなふ)て金銀(きん〴〵)に手支(てづかへ)ざる
仕様(しやう)左(さ)のごとし
譬(たとへ)ば年に拾/貫目(くはんめ)徳分(とくぶん)あるものならば八/貫目(くはんめ)にて