翻刻
【右丁】
関東に参り 一封の書を 献て 事の体を言上す
頓て板倉内膳正重矩の宅に彼家の奉行頭人等
をめしあつめられて御糺問あり三月廿七日かさねて
酒井雅楽頭忠清の宅に 召決せらる此日伊達累代の
家人原田甲斐宗輔 無二の宗勝か 与党なりしか
彼宗重をきつてすて血刀をひつさけて執政の
座に切ていらんとす有あふ輩馳集りつゐに甲斐
をはとつてけり伊達か家人疵かうふりて死する
もの弐人忠清の郎等ら手負ものありかくて
四月三日兵部少輔宗勝か罪さためられ土佐の
【左丁】
国へ流され土佐守豊昌に 預けられ子息市正宗興
は豊前の国へ流され小笠原遠江天性守長真に預けらる
又田村隠岐守宗良は天性病者にてつねに関東に
在て本国下向の事もなく又宗勝一門の長者
なるゆへ政事みなかれに任せけれはその罪をなた
められて蟄居せり原田か子息等ならひに一族の
輩こと〳〵くに誅せらる