翻刻
はおきなともあれかくもあれ申さんとて
出てかくなん聞ゆるやうに見給へといへは御(み)
子(こ)たち上達部(かんたちめ)きゝてをいらかにあたりより
たになありきそとやはのたはぬと云てうん
してみなかへりぬなを此女見ては世にあるまし
き心ちのしけれはてんちくに有物ももてこ
ぬ物かはと思ひめくらしていしつくりの御子は
こゝろのしたく有人にて天ちくに二つとなき
はちを百千万里のほといきたりともいかてか
取へきとおもひてかくやひめのもとにはけふ
なん天ちくへ石のはちとりにまかるときかせ
て三年はかり大和の国とをちのこほりにある
山寺にひんするのまへなるはちのひたくろに
すみつきたるをとりてにしきのふくろに入て
つくり花のえたにつけてかくやひめの家に
もてきて見せけれはかくやひめあやしかりて
みれははちの中に文ありひろけて見れは
うみ山のみちに心をつくしはてないしのはち
の涙なかれけ【ママ】かくやひめひかりや有と見るに
ほたるはかりのひかりたになし
をくつゆのひかりをたにもやとさまし
をくらの山にてなにもとめけん