翻刻
なる物出来てころさんとしき有時にはこしかた
行すゑもしらてうみにまきれんとし有時には
かてつきて草のねをくひものとし有時いはん
かたなくむくつけけなるものゝきてくひかく
らんとしき有時はうみのかいを取て命をつく
旅のそらにたすけ給ふへき人もなき所に色々
の病をして行方空も覚えす舟の行にまかせ
てうみにたゝよひて五百日と云たつのこく計
にうみの中にわつかに山見ゆ舟の内をなんせ
めて見るうみのうへにたゝよへる山いとおほき
にてあり其山のさま高くうるはし是やわか
もとむる山ならむと思ひてさすかにおそろし
く覚えて山のめくりをさしめくらして二三
日計見ありくに天人のよそほひたる女山の
中より出きてしろかねのかなまるを持て水をく
みありく是を見て舟よりおりてこの山の名を
何とか申ととふ女こたへて云これはほうらいの
山なりとこたふ是を聞にうれしき事限なし
此女かくのたまふは誰そととふ我名ははうかん
るりと云てふと山の中に入ぬその山を見るに
さらに上るへき様なし其山のそはひらをめく
れは世中になき華の木共たてり金しろかね