翻刻
るり色の水山より流出たるそれには色々の玉
の橋渡せり其あたりにてりかゝやく木共立り
其中に此取て持てまうてきたりしはいとわろ
かりしか共の給ひしにたかいましかはとこの
花を折てまうて来る也山はかきりなく面白し
世にたとふへきにあらさりしかと此えたを折
てしかは更に心もとなくて船にのりておひ風
吹て四百余日になんまうてきにし大願力にや
難波よりきのふ南都にまうてきつる更に塩に
ぬれたる衣たにぬきかへなてなん立まうてき
つるとの給へはおきな聞て打なけきてよめる
くれ竹の世々のたけとり野山にも
さやはわひしきふしをのみ見し
是を御子聞てこゝらの日ころ思ひにひ侍つる
心はけふなんおちゐめるとのたまひて返し
わかたもとけふかはけれはわひしさの
千草のかすもわすられぬへし
との給ひかゝる程に男共六人つらねて庭に
出来一人の男ふはさみ文をはさみて申くも
むつかさのたくにあやへのうちまろ申さく玉
の木をつくりつかふまつりし事こ国をたち
て千余日に力をつくしたる事すくなからす然