翻刻
とふらふにも得おきかり給はて船そこに
ふし給へり松原にさむしろしきておろし奉る
其時にそ南海にあらさりけりと思ひてからう
しておきあかり給へるを見れは風いとおもき
人にてはらいとふくれこなたかなたの目には
すもゝを二つけたる様也是を見奉りてそ国の
つかさもほうゑみたる国に仰給てたこしつく
らせ給ひてやう〳〵になはれて家に入給ひ
ぬるをいりてかきゝけんつかはしゝをのこ共
参りて申様たつの首の玉をえとらさりしか
は南殿へも得参らさりし玉の取かたかりし事を
しり給へれはなんかんたうあらしとて参つる
と申大納言おき居てのたまはくなんちらよ
くもてこす成ぬ龍はなる神のるいにこそあ
りけれそれか玉をとらんとてそこらの人々の
かいせられんとしけりましてたつをとらへた
らましかは又こともなく我はかいせられなま
しよくとらへす成にけりかくやひめてふおほ
盗人のやつか人をころさんとするなりけり家
のあたりたに今はとをらし男共もなあり
きそとて家に少のこりたりける物共はたつの
玉をとらぬ者共にたひつ是を聞てはなれ給