翻刻
に物もなしと申に中納言あしくさくれは
なき也とはらたちてたれはかりおほえんにと
て我のほりてさくらんとの給ひてこにのりて
つられ上りてうかゝひ給へるにつはくらめお
をさけていたくめくるにあはせて手をさゝけ
てさくり給ふに手にひらめる物さはる時に我
物にきりたり今はおろしてよおきなしえたり
との給ひてあつまりてとくおろさんとてつな
をひき過してつなたゆる則にやしまのかなへ
の上にのけさまにおち給へり人々あさまし
かりてよりてかゝへ奉れり御目はしらめにて
ふし給へり人々水をすくひ入奉るからうして
いき出給へるに又かなへの上より手とり足取
してさけおろし奉るからうして御こゝちは
いかゝおほさるゝととへはいきの下にて物は
少覚ゆれとこしなんうと【ママ】かれぬされとこやす
貝をふとにきりもたれはうれしくおほゆる也
まつしそくしてこゝのかいかほ見んと御くしも
たけて御手をひろけ給へるにつはくらめのま
りをけるふるくそをにきり給へるなりけりそ
れを見給ひてあなかひなのわさやとのたまひ
けるよりそ思ふにたかふ事をはかひなしと