翻刻
せちに物思へるけしき也ちかくつかはるゝ人
人竹取のおきなにつけて云かくやひめれいも
月をあはれかり給へ共此頃となりてはたゝ事
にも侍らさめりいみしくおほしなけく事有
へしよく〳〵身奉らせ給へといふをきゝてか
くやひめに云様なんてう心ちすれはかくもの
を思とひたる様にて月を見給ふそうましき世に
と云かくやひめ見れはせけん心ほそく哀に
侍るなてう物をかなけき侍るへきと云かくや
ひめの有所にいたりて見れは猶物思へるけし
きなり是を見て有仏何事思ひ給ふそおほす
らん事何ことそといへは思ふ事もなし物
なん心ほそくおほゆるといへはおきな月な見
給ふそ是を見給へは物おほすけしきは有そと
いへはいかて月をみてはあらんとて猶月出れ
は出居つゝなけき思へり夕やみには物思はぬ
けしき也月の程に也ぬれはなを時々は打なけ
きなきなとす是をつかふものともなを物おほす
事有へしとさゝやけと親をはしめて何事とも
しらす八月十五日はかりの月に出居てかくや
ひめいといたくなき給ふ人目も今はつゝみ給
はすなき給ふ是を見て親共も何事そととひさ