翻刻
はくかくや姫なく〳〵云先々も申さんと思ひ
しかともかならす心まとはし給はんものそと
思ひて今迄過し侍りつる也さのみやはとて打
出侍りぬるそをのか身は此国の人にもあらす
つきの都の人也それをなんむかしのちきり有
けるによりなん此世界にはまうてきたりける
今はかへるへきに成にけれは此月の十五日に
彼もとの国よりむかへに人々まうてこんすさら
す罷ぬへけれはおほしなけかんかかなしき事
を此春より思ひなけき侍るなりといひていみ
しくなくをおきなこはなてう事をの給ふ
そ竹の中より見つけきこえたりしかとなたね
の大きさをおはせしをわかたけたちならふま
てやしなひ奉りたるわか子をなん何人かむかへ聞
えんまさにゆるさんやと云て我こそしなめと
てなきのゝしる事いとたへかたけ也かくやひめ
云月の都の人にて父母ありかた時の間とてか
の国よりまうてこしかともかく此国にはあま
たの年をへぬるになん有ける彼国の父母の
事も覚えすこゝにはかく久敷あそひきこえ
てならひ奉れりいみしからん心地もせすかな
しくのみあるされとをのか心ならす罷りなんと