翻刻
おはするかくやひめはおもき病をし給へはえ
出おはしますましと申せは其返事はなくて
屋の上にとふ車をよせていさかくやひめきた
なき所にいかてか久敷おはせんといひたてこめ
たる所の戸則たゝあきにあきぬかうし共も
人はなくしてあきぬ女いたきてゐたるかくや
姫とに出ぬえとゝむましけれはたゝさしあふ
きてなきおり竹とり心まとひてなきふせる所
によりてかくや姫いふこゝにも心にもあらて
かくまかるにのほらむをたに見をくり給へと
いへとも何しにかなしきに見をくり奉らん我
をいかにせよとてすてゝはのほり給ふそくして
ゐておはせねとなきてふせれは御心まとひぬ
文を書置てまからんこひしからん折々取出
て見給へとて打なきて書ことは此国に生れ
ぬるとならはなけかせ奉らぬほとまて侍らて
過わかれぬる事返す〳〵ほゐなくこそ覚侍れ
ぬきをく衣をかたみと見給へ月の出たらん夜
は見をこせ給へ見捨奉りてまかるそらよりも
落ぬへき心ちすると書をく天人の中にもたせ
たるはこ有あまの羽衣いれり又あるは不死の
くすり入りひとりの天人云つほなる御くすり