翻刻
奉れきたなき所の物きこしめしたれは御心地
あしからん物そとてもてよりたれはいさゝか
なめ給ひて少かたみとてぬき置ころもにつゝ
まんとすれはある天人つゝませす御そをとり
出してきせんとすその時にかくやひめしはし
まてといひきぬきせつるは心ことに成なり
といふもの一こといひ置へき事ありけりと云
て文かく天人をそしと心もとなかり給ひかく
や姫物しらぬ事なのたまひそとていみしくし
つかにおほやけ御文奉り給ふあはてぬさま
なりかくあまたの人を給ひてとゝめさせ給へと
ゆるさぬむかへまうてきてとりいて罷ぬれは
口おしくかなしき事宮仕つかうまつらす
なりぬるもかくわつらはしき身にて侍れは
心得すおほしめされつらめとも心つよく承は
らすなりにし事なめけなるものに思召とゝ
められぬるなん心にとまり侍りぬとて
今はとてあまの羽ころもきるおりそ
君をころもとおもひいてたる
とてつほのくすりそへて頭中将をよひよませ
奉らす中将に天人とりてつたふ中将とり
つれはふとあまの羽ころも打きせ承りつれは