翻刻
自序
夫(それ)人々 家業(かきやう)の暇(いとま)に伊勢参宮(いせさんぐう)に旅立(たびたち)する
とて其(その)用意(ようい)をなし道連(みちつれ)等 約束(やくそく)しいつ
何日(いつか)は吉日と定(さだめ)爰(ここ)彼(かしこ)より餞別物抔(せんべつものなと)到来(とうらい)
し家内(かない)も其(その)支度(したく)とり〳〵に心も浮立計(うきたつはかり)
いさきよきものはなし殊(こと)に首進(かといて)の日は親(しん)
族(ぞく)朋友(ほうゆう)の徒(ともから)其(その)所(ところ)の町はつれまて送行(おくりゆき)
酒宴(しゆえん)を催(もよう)し旅中(りよちう)の心得にもと思ふことを
面々 親切(しんせつ)に心付る類(たぐひ)は各(おの〳〵)皆(みな)実意(じつい)にて脇眼(わきめ)