翻刻
道中てみへかさりする人達(ひとたち)は必(かなら)すなんに
あふとしるへし
泊りにてもしや近火(きんくわ)のある時は立(たち)したくして
次(つき)に荷(に)をだせ
ものいひを旅てはことに和らけよ利屈(りくつ)かましく
こわたかにすな
得たりとて旅て出(いた)すなそのわざをかくせはひかり
いやまさるなり
落(おと)さしとわかふところに心つけ川越(かわこし)の場(ば)と
ふねののりをり
馬かたや荷(に)持(もち)雲助(かこかき)あなとるな同しうきよに
をなし世(よ)わたり
はらのたつことをも旅はこらへつゝいふへきことは
のちにことわれ
乗(のり)かけは小附(こつけ)まてをも改(あら)めて其(その)数(かつ)合ふた
上(うへ)てのるべし
宿(やと)たゝばもつへき物をあひたかひ忘(わすれ)ぬやうに
気を付てやれ
右(みき)旅行(りやうかう)教訓(きやうくん)の歌(うた)を人々(ひと〳〵)つね〳〵暗誦(あんせう)【左ルビ「そらにおぼへは」】せば後日(かうじつ)
旅行する折の心得となるへし
○旅立の歌
庭中のあすはの神に小柴さしあわれ祝む
帰りくるまて
定(さた)めえし旅(たひ)たつ日(ひ)とり吉悪(よしあし)は思ひ立(たつ)日(ひ)を
吉日(きちにち)とせむ