翻刻
【頭書・右丁】
のものまでもよきに
いひはやすにより女心に
油断(ゆだん)してなじむに
したがひ朝寝(あさね)して
髪(かみ)ゆふに隙(ひま)をとり
めづらしきうちは
夫(をつと)も用捨(ようしや)するにつき
あがりて姑の気には
入らず姑の顔付(かほつき)あし
ければそろ〳〵姑を
譏(そし)りいだし腰元(こしもと)下(げ)
女(じよ)を相手(あひて)に陰口(かけくち)いへば
そのうちにも又姑に
告(つげ)るものありて家内(かない)
の騒動(さうどう)となる娵(よめ)
【頭書・左丁】
始(はじめ)の願ひには嫁入
してさきの夫の気に
入り姑(しうとめ)を大切(たいせつ)にして
いかやうのことありとも
辛抱(しんばう)する願ひなり
しを打わすれて夫(をつと)の
大切(たいせつ)なる親(おや)をそしり
わか口よりわが身を
追出(おひいだ)す媒(なかだち)をなすこと
なりうたに
しうとめをおやぞと
おもひつかへなば
いかでふたゝび
家をいづべき
○奉公(ほうこう)する心得(こゝろえ)
下女(げじよ)最初(さいしよ)の願ひには
【本文・右丁】
御さそひ合され御入のほと
御事と有かたく御うれしく
くとふも〳〵御まち申あけ
存上まいらせ候さてはわざと
まいらせ候御慮もしなから
内祝(うちいはひ)いたし候まゝ御 招(まねき)申上たく
そのよし御あねさまへも
こなたより申上候やう竹(たけ)左衛門
仰上られ下さるへく候
申付まいらせ候 夕方(ゆふかた)よりいとさま
【本文・右丁】
めてたくかしく
御めしつれられ御 遊(あそ)ひに
御出被下候やう御ねがひ上まいらせ候
兼(かね)て御馴染(おんなじみ)の勝(かつ)五郎かさ久も
参(まい)り茶番(ちやばん)いたすとやら
申事に候まゝくれ〳〵も御 越(こし)