翻刻
【頭書・右丁】
すゝることあしし舌(した)うち
すべからす酒(さけ)の時同前也
○串(くし)にさしたるもの箸(はし)
にてはさみあげ左りの
手にてくしを取はし
を持(もち)そへてくふべし凡(すべ)て
椀(わん)のうちよりそとを
見ること有べからずまた
よそ見してものを
はさむべからず口をさし
出してくふべからず
○箸(はし)の取やうは三ッ折
にて上の折めをとる
べし箸(はし)を膳(ぜん)におくは
初(はじ)め置たるごとくにて
置べし凡(およそ)飯汁椀(めししるわん)を
【頭書・左丁】
取あひだははしを取直し
ひざの上に置べしいく
たびもかくのごとくすべし
○飯椀(めしわん)のふたにつかば
はしをもつてわんの
内へ入るべし
○もてなしの内三たび
亭主(ていしゆ)がたへ謝礼(しやれい)すべし
はじめに料理(れうり)の結構(けつかう)
なることをいひ二度めに
は料理 丁寧(ていねい)なるよし
をいひ三度めには諸事(しよじ)
念(ねん)入たるよしを挨拶(あいさつ)
すべし此外 遠来(えんらい)の
もの名物(めいぶつ)に気(き)をつけ
礼を述(のぶ)べし
【本文・右丁】
おそれ入まいらせ候此御さもし
少々ながら御 祝(いは)ひ上まいらせ候
めてたくかしく
○大風(おほかぜ)見廻(みまひ)の文
ゆふしは殊(こと)の外(ほか)の大風(おほかぜ)にて
【本文・左丁】
嘸々(さぞ〳〵)御 心(こゝろ)づかひ御 老母様(らうぼさま)
何(なん)の御 障(さはり)もなく候やそれのみ
御 案(あん)じ申上まいらせ候 取(とり)あへず
御 様子(やうす)うけたまはりたくしめし
上まいらせ候めてたくかしく