翻刻
【頭書・右丁】
○茶菓子(ちやぐわし)出るときは
盆(ぼん)を右の手にて取上け
左の手にうつしやうじを
取りくふべし
○後段(ごだん)の菓子めい〳〵に
出るはよし若(もし)廻(まは)り菓子
ならば上客 相伴(しやうばん)に辞義(じぎ)
して後 紙(かみ)をいだして
よき程(ほど)に取相伴の前へ
差出(さしいだ)すべしよき菓子を
ゑりとるは見ぐるし
○茶(ちや)ぐはしをはらば上
客より立て手水(てうづ)つかふ
べし此時 濃茶(こいちや)の出る
ならばていしゆ持来(もちきた)る
茶わんを上客 請取(うけとり)て
【頭書・左丁】
いたゞき座(ざ)におき上客
次の人へのめといふおの〳〵
あつく辞義(じぎ)して上客に
ゆづる上客 互(たがひ)に辞退(じたい)
せば茶さめ申べしといひ
てとりあげ三口のみて
我(わが)吞(のみ)たる所を指のはら
にてぬぐひ次の人へ渡(わた)
す次の人 受取(うけとり)上客の
呑たる所をわが前へふり
むけいたゞきのみて前の
ごとく次第にのみ末座(ばつざ)の
人にいたらばのみ終(をは)りたる
茶椀(ちやわん)を上客へもどす也
上客受取 茶(ちや)の香(か)を
かぎちやわんを見て次へ
【本文・右丁】
○逗留(とうりう)見廻(みまひ)の文
返(かへ)す〳〵御つれ〳〵のふしは
愈々(いよ〳〵)御さへ〳〵敷(しく)御入候はんと
ちとこなたへも御はなしに
御めて度存上まいらせ候さては
御出下さるべく候このせつ
此程(このほと)より永々(なか〳〵)の御 逗留(とうりう)
所々(しよ〳〵)開帳(かいちやう)にてにぎはひ候まゝ
嘸々(さぞ〳〵)御つれ〳〵さつし上まいらせ候
【本文・左丁】
御とも申たく候いつれにても
此品(このしな)宿(やど)にてこしらへ候まゝ
こなたへ御こし御まち申
さもしき品には候へとも御 慰(なくさ)み
上まいらせ候かしく
ながらしんじ上まいらせ候こなた事も
見合(みあはせ)候て御 見舞(みまひ)に上(あが)り山々
御はなし申上べくとたのしみ