翻刻
【頭書・右丁】
[給仕(きうじ)の次第(しだい)]【四角枠で囲み】
すべて女のたしなみは
髪(かみ)をゆひ化粧(けはひ)して朝(あさ)
夕(ゆふ)身(み)を奇麗(きれい)に持(もつ)べし
すがたを作(つく)るのみにあらず
上たる人への礼義(れいぎ)にて
また不浄(ふじやう)を除(のぞ)くとも
いへば人の給仕(きうじ)する時は
猶さらのことにして手足(てあし)を
きよらかにすべし女の顔(かほ)に
紅粉(べに)おしろいをよそほひ
たり共手足のむさきは
にげなく愛相(あいさう)のつきる
ひとつなればよく〳〵
嗜(たしな)むべし
【頭書・左丁】
○膳(ぜん)すゑやうの事両手
の親指(おやゆび)を膳のふちへ
かけてしつかりともち
目八分(めはちぶん)にさし上け膳の
下より見るごとくにして
しとやかに客座(きやくざ)三尺程
こなたにひざまづき膳を
下に置両手をかけて客
の前へおしてすゆるなり
とかく畳(たゝみ)のへりをふまぬ
やうに心がくへしたつ時は
客(きやく)座敷(ざしき)の右座におらば
きうじは左の足よりたつ
べし客左座ならば
右の足よりたつと心得べし
○客 飯椀(めしわん)を出すとき
【本文・右丁】
御つもりに福助(ふくすけ)へは申聞せ候まゝ
さやうにおほしめし下さるべく候
いつれ御返り事御ねかひ
申上まいらせ候めてたくかしく
○安産(あんさん)怡(よろこひ)の文
【本文・左丁】
かへす〳〵こなたみな〳〵よりも
一筆申上まいらせ候お阿舞(あん)さま
よろしく申上候やう申おり
御 事(こと)やすらかに御 産(さん)遊はし候よし
まゐらせ候やかて御めもしに
御 血(ち)ごゝろもなく御子さまも
まん〳〵御よろこひ申上へくと
御 達者(たつしや)に御入候との御事万々
存上まいらせ候めてたくかしく
御めてたく嘸々(さぞ〳〵)御もとさま