翻刻
【頭書・右丁】
婚礼(こんれい)にふたつといふ
ことをいみて黒棚といふ
これにかざる道具(どうぐ)おき
所あり貝桶(かひおけ)は床にかざ
るべし女房の衣服(いふく)は
別(べつ)に衣桁(いかう)にかけて
かざるべし上輩(じやうはい)はその
夜(よ)七ツかけてかざる三ツ
にとりてかへて五ツかけ
五ツに三ツかけべし衣(い)
桁(かう)は二ツも三ツもあるべし
手ぬぐひかけはいかうより
上座たるべし床の間
には女房の持せたる夜(よ)
着(ぎ)蒲団(ふとん)けせうの間
ならはこゝに化粧道具(けしやうどうぐ)も
【頭書・左丁】
かざり置べし
○小袖(こそで)台(だい)につみやうは
常(つね)のごとくにして袖を
かへさぬなり
○むかひ小袖とて其夜
にいたり聟(むこ)の方より
遣(つか)はすものなり小袖
一かさねなり衿(ゑり)とゑり
とを合せ糸(いと)にて綴(とぢ)て
つかはすなり
○輿(こし)請取(うけとり)わたしは家(いへ)
のをとなたがひに出て
門前にむしろを敷(しき)輿(こし)
をすゑてたがひに祝義(しうぎ)
をのべそれよりこなたの
人 輿(こし)を請取(うけとる)なり貝(かひ)
【本文・右丁】
○帰宅礼(きたくれい)の文
返す〳〵あまり御はもしには
一寸としめし上まいらせ候さては
候得とも此品々御子さまかたへ
こなた鶴(つる)左衛門事 道中(とうちう)
御上ケ被下べく候ま事に
何の障(さはり)なく夜前(やぜん)帰(かへ)り候て
御みやけの印(しるし)ばかりに御さ候
いまだいづかた様へも参り不申候
【本文・左丁】
めてたくかしく
留主中(るすちう)は御 心(しん)もじに御なし
被下やま〳〵有かたく早速(さつそく)
御 礼(れい)に上(あが)り可申所 旅労(たびづか)れにて
自由(じゆう)ながらそのよし
こなたより申上候やう申おりまいらせ候