翻刻
【頭書・右丁】
夜(よ)は老(おい)の身(み)の寝覚(ねざめ)
せし東雲(しのゝめ)はやく
薄紅(うすくれなゐ)日影(ひかげ)もさすや
薄雲(うすくも)の上り馬(うま)とや名(な)
付(づけ)けん六十(む???)の
香(かう)と是をいふなり
[婦女(をんな)いましめ草(ぐさ)]【四角枠で囲み】
それ女子(をなご)はとりわけて
父母(ちゝはゝ)のいつくしみ深(ふか)き
ものなれば幼少(ようせう)の時
より遠(とを)くあそばず
男の子と交(まし)りあら〳〵
しき戯(たはぶ)れ事をば
なすべからず奉公(ほうこう)に
出なば朝(あさ)とく起(おき)て
【頭書・左丁】
東(ひがし)の方にむかひ天(てん)
道(とう)を拝(はひ)し次に神(かみ)
仏(ほとけ)の心ざしある方を
祈(いの)りまた父母のかた
を拝(をが)みて其日の
災難(さいなん)なきやうにと毎(まい)
朝(てう)いのりて怠(おこた)るべ
からず其主人には勿論(もちろん)
傍輩(ほうばい)のものに至る
までも詞(ことば)がへしせず
おのれ首尾(しゆび)よきとて
人を見くだし高(たか)ぶら
ず何事にも柔和(にうわ)
にしてことば多く仮(かり)
にも高声(たかごへ)にて罵(のゝし)る
べからずまた縫(ぬい)はりの
【本文・右丁】
夫(それ)ゆへ捨置(すておき)がたし今(いま)より
そのかたへ参り候まゝ明日の
御事はよん所なく御ことはり
申上まいらせ候 誠(まこと)に〳〵御 気毒(きのどく)に
存上候へ共此よしよろしく
【本文・左丁】
御 聞(きゝ)とゞけ下さるへく候かしく
○年賀怡(ねんがよろこび)文
春水様(しゆんすいさま)御事御 年賀(ねんが)
御 祝(いわ)ひ遊はし候由 誠(まこと)に〳〵
万々歳(まん〳〵ざい)の御 寿(ことぶき)かぎりなふ