翻刻
【頭書・右丁】
前後(ぜんご)にはよるべからず
我(われ)は道を師(し)とすべし
師にあはざればわづか
の事にてもまどひ
とけぬものなれば千
日の勤学(きんがく)よりも一
時の学匠(がくしやう)すぐると
いふ事よく〳〵わき
まへつとむべし〳〵
[琴(こと)三味線(さみせん)の事(こと)]【四角枠で囲み】
琴(こと)は唐土(もろこし)にて神農(しんのう)
といふ聖人(せいじん)つくり
はじめ給ふなり日本
にては天(あめ)のうすめの
命(みこと)はじめ給ふ
【頭書・左丁】
○琴(こと)と三味線(さみせん)との
調子(てうし)をあはする事
琴の三の糸三味線
の一琴の五はさみせん
の三とおなじ
○二あがりのてうしは
琴の三さみせんの一
琴の八三味せんの二
琴の十三さみせんの
三とおなじことなり
○糸のおさへやう大 指(ゆび)
にさしたる爪(つめ)を前(まへ)の
爪といふ中ゆびにさし
たる爪を向ふ爪と云(いふ)
人さしゆびにさしたる
つめをわき爪といふ
【本文・右丁】
みめ容(かたち)よく生(むま)れ付(つき)
ても物(もの)かく事のつた
なければ夫(おつと)のかたの
親類中(しんるいぢう)また出入(でいり)の
ものにも見(み)けなされて
中(なか)〳〵はづかしき
【本文・左丁】
事おほしまた手
なとうつくしう書(かき)
ぬればをや達(たち)をも
人のほめるもの
なれば孝行(かう〳〵)の
ひとつなり折ふしの