翻刻
【頭書・右丁】
○糸(いと)の名手まへを
巾(きん)といふ次を為(ゐ)と
いふ其次を斗(と)といふ
それより次第に十九
八七六五四三二一なり
おさゆる糸は四七八九
なりひきならひには
おさへずしてもくるし
からず地(ぢ)のきはに墨(すみ)
つけおくべし
○三味線(さみせん)のひきはじ
めは文禄(ぶんろく)の頃(ころ)石村(いしむら)
けんぎやうといふ法師(ほうし)
琵琶(びわ)を■【忠ヵ】し三味
線をつくりたり
○習(なら)ひやう能(よく)弾(ひ)く
【頭書・左丁】
人の撥(ばち)のもちやう
ゆびづかひ色(いろ)の付やう
見るべしばちは手の
内かるく持べし力(ちから)を
入るればはやき事に
ばちまはらずぎしつき
糸の音色(ねいろ)出ざるなり
糸をおさゆるゆびは
つよくかゞめ爪にて
糸をおさゆべし其
心がけにてしぜんと
ねいろ出るなり
○琵琶(びわ)は長さ三尺五寸
四すぢ下よりさかさま
にひくを琵(ひ)といふ上
より順(じゆん)にひくを琶(わ)と
【本文・右丁】
文(ふみ)のとりかはしにも
筆(ふだ)かなはねばぶん
しやうもふつゝかさに
先(さき)にて打寄(うちより)わらひ
草(ぐさ)となることそほゐ
なけれめしつかふ
【本文・左丁】
下々さへものなど能(よく)
書(かき)ぬればそだちの
ほどのおもはれて
げにくしく覚(おぼ)ゆる
ものなり扨(さて)また
縁(えん)にもつきて後(のち)