翻刻
かぎり 葉のまわりくれないにて中
【挿絵】 青し古来しやう〴〵楓と
名をよぶ無地のくれないと青
葉にもまぢりさながら秋の
かうやうの至極を見るごとく
にてやがてちらんかとおしむ
心せりとぞ
古今 よみ人しらず
ちらねともかねてそおしき紅葉はは
今をかきりの色と見つれば
紅(もみ)の波(なみ) 木も葉もきれにしきに似(に)て
【挿絵】 葉形さらりとすかしよほど
紅葉の 色ありかうらい楓ともいふ
ながれて 紅葉のいろ〳〵又切錦
におとるへからずきれ〳〵
とまるみなと なる葉をさま〳〵に染
にはくれない たるはくれないの立波(たつなみ)
ふかき ともいふべき錦をあらふ
波や そせい 江の水にいみしき
立らむ 波のたつことく成とそ