翻刻
やしほちしほは枝を染花に先立て葉を
ひらき早春のなかめ百色の品葉形の異類
夏は又若芽しけりて形状各別の模様を見せ
秋はもみちの春にして時雨の細工諸花も
及ふまし不断のなかめ庭圃のかさり是を
植すしていつれの木をか賞すへし愚老
本家のかたはらに隠居屈膝を設けたれとも
是はすてかたくて軒のまはりに楓種多く蒔
ちらしちさき小苗に接木す千代萬歳の
時なるかな武郷の富家千万町の遊人方飛鳥
山の花見帰り野遊ひの戻りに立寄葉形好物〳〵
あらそひもとめてかへりぬ又は諸国より聞及ひ
参府の方へあつらへ折節の便りに駕乗物の前に
置のりものゝ脇付歩人に荷担せてもとめて
かえり給ふ宜成るかな隠老の薪茶の労に代る
ものとて清天良辰には尺甫に出杖をたてゝ
念珠は杖に預け置樹下熱【蟄ヵ】て目かねのたすけ
にひたもの接はひたもの売日々につけは