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コレクション: 松平文庫

温古集 三巻 - 翻刻

温古集 三巻 - ページ 105

ページ: 105

翻刻

当務之応答首尾能相勤罷帰役揚之節 右麁忽之趣有体を仛申演何之御沙汰も なく相済しが其後御登城之折殿中ニて 双方之君公御出逢御使之御挨拶有之就而ハ 其節之御使姓名楠多門兵衛と承り候右ハ 楠公之血流由緒有之者ニ候哉と被尋けれバ 当君公御答夫ハ楠田門兵衛と申候ニ而可有之 全御取次之聞誤りならんと被仰けると也 又ある時加州候とかへ雨天之節御使者ニ罷越 退出之節取次之者式台鏡板迄見送り出 辞宜相済立んとせし時ブウ鳴りけれバ右 取次を初詰合之番士大笑ひせしを聞捨其侭 中雀門を出しが又立帰り玄冠之中央大音 声ニて申様只今之退出之節足袋の湿りニて 鏡板之鳴りしを各放疵【屁の間違ヵ】と御聞候哉殊 之外御笑ひし段遺憾至極ニ候拙者真の 疵ハ是で御座ると云ひ捨大キ成疵を二ツ 放ち悠々として帰りしと也