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金ニ任せ家製第一之品を見せけれハ気ニ
叶ひつまミてハ喰ひ〳〵〳〵けるが素々上等
之事故金高ニも相成るニ付亭主も案事けるに
殊之外仕立方を褒め価は何程ニ相成やと問
ける故気之毒之体ニ而弐両 幾(いく)らとか相成段
答けれハ何之思案もなく払ひて出行しゆへ
不審ニ思ひ店之者追かけ為附廻しに二
條辺何とか云旅籠屋へ向ふとひとしく家内
諸共飛出奔走して座敷へ通せし故右菓子
屋の丁稚只今御入之御客ハ何国之御方ニ候哉と
問しにあの旦那ハ福井ニて名高き豪家
極印屋庄左衛門と申御方ニて度々御上京当家
御定宿之由申を聞取一さんに駆戻り主人ニ
云けれハ早々袴羽織着極製菓子箱を
携へ右旅宿へ罷越面会を乞云ふ様私店
京都上等製出之仲ヶ間ニて数年来栄候得共
未タ当旦那之如き御方御立寄之事ハ聞伝
ニも承り不申儀ニ而実ニ我家益繁盛之瑞
相と存難有存御礼ニ罷出候尚御贔屓を願
ますと深額ひて帰りしと也