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コレクション: 松平文庫

温古集 三巻 - 翻刻

温古集 三巻 - ページ 27

ページ: 27

翻刻

興つて尽力せさるなき同年七月藩翁を褒詞す曰く 今度異国船渡来之節御固御人数繰出方を始め不容易 骨折相勤御満足思召候同日再ひ褒詞あり曰く御役 義以来御武器之儀格別心配致被置候故今般御人数被差出 候ニ付ても御差支無之儀ハ全く兼々行届候故と御満悦に 思召候七年七月松本地方渋谷氏屋敷地内百坪を角 場として之を賜ひ居屋敷内へ角場を立業を修するを 許す安政三年猶此角場に添地を賜ひ下屋敷とせられ 四年勝見川下畑地の裏におゐて新たに下屋敷五百坪を 給ひ角場百坪を還さしむ皆翁の精勤を賞するなり 安政五年大将軍徳川家定公薨して世嗣なし営中の内議 中納言一橋慶喜君を立て嗣と為さんとするに傾しが翁 固より水戸藩藤田虎之助戸田銀二郎安嶋帯刀及び薩 藩有志の人々と交り深く互に相往来せり一日薩主中将公 今の正二位春嶽公大老井伊掃部頭の桜田邸ニ詣り 将軍家の世嗣并ニ関鏁の事を京師に奏問せん事を議 せしに其論おのつから経庭する所なるが如し帰路追手前 を過る時翁単騎にして馳せ寄り鞍に伏して曰今日水 戸老公尾州公の俄に東條登城せらると聞思ふに立嗣開鏁之 事件なるへし主公なんぞ其議に與らせ玉ハさる哉と