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コレクション: 松平文庫

温古集 三巻 - 翻刻

温古集 三巻 - ページ 74

ページ: 74

翻刻

【右丁】 浅水の橋をわたり  水の音もふりくる空のへ雨りとて心とろ〳〵浅水のはし 陸  老の足にまかする旅の心みにふみならし行浅水のはし  祐 これより閑道に杖を引て吉江の里にいたりけるにこの日あたゝ かにして夏の心地せらる老のくせなれは喉のかはきけるにまつ 春慶寺に方外大徳のかり居し給ふけるをとふらひふたりともに 常に煎茶をたしみけれは旅の用意に持けるたゝめる昆崙 さゝやかなる暮鼻星やらのもの取出て里のうなゐに清水酌せ 茶を煎して渇をしのきしはし物語し侍る程にはや西光寺上人 聞つけ給ひていさきませ日も半過ぬるはとて使もていそかせ 【左丁】 給ふに方外大徳案内せんとて打ともなひて彼寺にまうて けれは午の時も過ぬるに飯たうへよ酒のみてよともてなし 給ふにそうちくひつゝかたらふまゝに時移りぬれは余波おしくも 別れを告て立さりぬ夫より水落の駅にいてゝ鯖江に いたる爰にもしる人あれはわらくつはきなからとふらひ暫しか ほとかたらひてまかりぬ白鬼女川にいたり渡舟に打のり はるかにむかふを見れは日は西山に落かゝれり此の川いにしへは叔 羅川といひけるを年ふりて河筋すこし所かはり名もまた 白鬼女川とあらたまりぬとかや委しくは祐可かつゝりたる 越の名所道しるへ草にしるし置り