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翻刻
【右頁】
たる古実の程は知らされと蟇目の法を
行へば悪魔降伏の徳ある由小野道風は
蛙の根気に感して筆道の極意を極め
又住吉の明神は水に住む蛙迄倭国に歌
よまぬはなしと唐土人にのたまひける由
なるが又俳諧の元祖たる芭蕉翁は
古池や蛙の発句に又名を揚たり然る処
ことしより十あまり九とせ前の頃新なる
まつりことに改め玉ふ折柄よりよろつの
事々変り果ぬる有さまを旧弊執着
【左頁】
するにはあらざめれどむかしのありさまを
後の代に至りて何事も知らず成なんはいとかな
しき事と思ふ心よりして昔より福井の
ありさまを或は画き或は何事によらす書
綴りて一帖となし幾千代の末々迄書継たらん
にはと先の年 旧御藩
御両君公へ御覧に入しに
正二位老君公御序文温故帖と題号を
戴きあがた十五景の御詠歌を賜りし
より追録の趣向数多ある内芭蕉翁以来