デジタルアーカイブ福井の資料を翻刻

コレクション: 松平文庫

温古集 三巻 - 翻刻

温古集 三巻 - ページ 93

ページ: 93

翻刻

【右頁】    答         二字亭 李青 やんら目出たやことしの暮は鬢につもれる雪も 降らねは額に寄る浪も荒す老に老は重ねても 心は和歌の浦に遊ひて田鶴の齢にあやからむには 頓て嘉例に鬼打豆の数も尽せす福は内へこされや こされと柊にさす鰯の頭に俳諧の信心を委ねて 閑窓にとしを守る折から其名に一字のゆかりある 蓬莱山の麓より言の葉草の種を積揖取の いさなひに二三子の水主も揃へは得手に帆風の帆を 引あけてやんら目出たやさつさ押せ〳〵と須臾の 【左頁】 間に一艘の宝船を二字の湊に碇をろして長き 世のとをの眠りを覚す談笑の高笑ひはやんら 目出たきとし忘にそ有ける    漕寄せて貰ふ恵みやたから舟     隠居の弁       同人 時節到来と言事ありて願ひの侭に隠居りなりし 有かたさは短き筆には尽せさるを人も嘸かしとは 祝ひくれぬさはされ隠居の名目の実に屈して深 山幽谷に世を遁れ八重むくらの門さしこめて 人には見へしと煩ひ証す分別もなく誘ふ水