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翻刻
【右頁】
答 二字亭 李青
やんら目出たやことしの暮は鬢につもれる雪も
降らねは額に寄る浪も荒す老に老は重ねても
心は和歌の浦に遊ひて田鶴の齢にあやからむには
頓て嘉例に鬼打豆の数も尽せす福は内へこされや
こされと柊にさす鰯の頭に俳諧の信心を委ねて
閑窓にとしを守る折から其名に一字のゆかりある
蓬莱山の麓より言の葉草の種を積揖取の
いさなひに二三子の水主も揃へは得手に帆風の帆を
引あけてやんら目出たやさつさ押せ〳〵と須臾の
【左頁】
間に一艘の宝船を二字の湊に碇をろして長き
世のとをの眠りを覚す談笑の高笑ひはやんら
目出たきとし忘にそ有ける
漕寄せて貰ふ恵みやたから舟
隠居の弁 同人
時節到来と言事ありて願ひの侭に隠居りなりし
有かたさは短き筆には尽せさるを人も嘸かしとは
祝ひくれぬさはされ隠居の名目の実に屈して深
山幽谷に世を遁れ八重むくらの門さしこめて
人には見へしと煩ひ証す分別もなく誘ふ水