翻刻
【右丁】
共に冷也麻も着て冷かなるものなれは朝麻同じ
訓なるへし又 夕(ユウ)は四季共に暖か也 木綿(ユウ)も着て暖
なるものなれは夕(ユウ)木綿(ユウ)同し訓なるべし最も麻(アサ)は木(ユ)
綿(ウ)に対したる辞なるは上件に云ふ処の如し又上古は
絹の。すくなき折なれは諸人多く麻(アサ)木綿(ユウ)を神に手
向けし也其古風残りて今も神に奉るには必 麻(ヌサ)也
麻(ヌサ)は麻(ヌサ)【注】也夫麻の清浄なる子細は麻は着して涼し
きものなる故にしか云なり其は人々の心の。すみたる
を涼しきいふ也凉しきは清浄にて則神の御心
也又朝は人々の心すみて清浄なる心の涼しき也故に
【左丁】
朝麻の涼しきは神の御心に叶ふ義理にて麻を
清浄の服となすは此謂也斯の如く朝は日の出る始
にて太神宮の天の盤戸を開き給ふ時也最も朝(アサ)は
日(ア)サスノ下略 夕(ユウ)は消(キユ)の上略にて朝程目出度はなし
故に朝庭とて日の生れ給ふと。いふ意識(コヽロ)に清浄
にまします処を祢(タヽ)へ奉る義なるへし又人間一生の
朝は小児の無心の姿にて清浄也一年の朝は春にて
万物発生する時也日本惣国の朝は東国にて東
国は関東也故に上総下総に不抱【拘の誤】凡て関東は麻の
大地に能く応する所なるへし
【注 「麻(ヌサ)は麻(アサ)也」ヵ】