翻刻
の八月廿日江戸ゟの御免を蒙り奉る 御公
儀様ゟ我を積渡せし阿蘭陀に御同ふび□
して銅弐千斤を被下猶又筑前守様ゟ米弐
披石を給りけるとそ厚き恵の御代に逢て
有難泪こぼしけれハ延たる髪を元服して
乗も習わぬ駕に乗り荷物を我にゐわりて
古郷の方に急きける天より□し我命と
思へハ嬉し悲しさハ死て別れ生わかれ我身
ひとつを元の身にして古郷の人々問ふな
ならば何と答ん言の葉とちりるばかゝる
物思ひあらまじ物をと泪にくれ鏡の□も
見へわかず同月未の六日の夜□泊りの浦
に着にけり去程に孫七ハ九年の春秋に替り
安きハ浮世なり娵ハ待兼入夫を招き子を連
れながら他里に嫁し老ハ残りて若きハ死す
我ハ又妻もなく親もなく唯待わひしは
兄とまた□に備へし清入信士死して二タ度
□り我か位牌に対面する明和七年