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【右頁】
如きも種痘法を施す時は其危難を救ふべし
大人流行の痘を患ふる時は血液熱沸して脉絡緊張する
事其勢小児に比すれは最烈しく遂に血液の腐敗する
に至る故に廿歳以上の人に於ては呼吸促悶して死する
者十の七あり小児は身體柔軟輭にして脉絡弛緩なる
の故に疼痛を覚ゆる事少し是を以て惡症を得ると
いへとも大人に比すれは死を免るもの頗多し況や順
痘を得或は種痘術を用ゆるに於ては其安穏なる事
知るべきなり
年の長したるものは順痘を得るとも其兼症甚た烈し
たとへ療法にて救ふべしとも若拙工庸醫の治術度を
【左頁】
失ふ事あれは是か為に死するもの少からず
高年に至るまて痘を免るものあり是は幼年の時他病
ありて其治療に依つて體内の痘毒おのつから清除し
たる者なり或は性質痘毒なきものも間々あり斯の如き
人には種痘を施すも痘を發する事なきなり又性質痘
毒の多きものあり此人は纔に其気を感すれば勿つち
發する事速にして必す稠密なり其毒皮下脂膜の部を
擾亂するを以て皮面に深き痕を為す此等の人にも
種痘を施せしに猶危ふき事なく功をつたり是に由て
祝るときは種痘によりて發するの痘は總て安穏なる事
知るべし嘗て是を試るに百人に死するもの僅に一人