翻刻
【右頁】
研りたる椎の殻を以てこれを覆ひ厭布を置れ其上を
繃帯に適宜に結ひおくなり
第四法は鍼を以て膿熟したる痘を刺し其鍼頭に膿
汁をつけて此鍼にて種むと欲する者の皮肉を刺すなり
第五法は鍼三四箇を束ねて胸【?】腕袴其他の皮肉を刺し
痘の膿汁を是に擦つくるなり
第六法は痘を種むとする小児をして順症の痘児の家に
至りて其児を手を握らせ體を相接して而後厚く衣
を着せ風寒を拒ひて我家につれ帰るなり
以上六法の内第三第四第五第六を良とす但第六法にては
或は發し来らさるものあり
【左頁】
右の術を施す時は最初に發熱してそれより赤疹を發し痘を
生し膿熟して而後痂となり落るなり其摂養乃法は自然流
行の痘と同し爰に暇す又痘の發したる間其前後變化乃
次第は内科書によりて知るべし
前件既に此法の有益なるを書載たりといへとも尚又諸
名家の考説を左に學て此法の信用すべく且切要なるを
證明す
古今證説
越麻拙越尓低莫泥烏斯(ヱマニユヱルネモニウス)《割書:人|名》の千七百十四年《割書:按に我享保|二年丁酉》の著書
に種痘の有益良功ありて甚た安全なるの究理を載せ
たり其書中に亦/都爾格(トルコ)の人此法を以て流行の惡痘