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扶桑皇統記図会(ふそうくわうとうきづゑ)後編(こうへん)巻之二
浪華 好華堂野亭参考
山城国(やましろのくに)鞍馬寺(くらまでら)開基(かいき) 峰延法師(ほうえんほふし)《振り仮名:退_二治大蛇_一|だいじやをたいじす》条
粤(こゝ)に大中(だいちう)大夫(たいふ)藤原伊勢人(ふじはらのいせんど)といふ人あり。仏道(ぶつどう)に皈依(きえ)して深(ふか)く観音菩薩(くわんおんぼさつ)を
信仰(しんかう)し。何卒(なにとぞ)一個(いつこ)の霊地(れいち)を得(え)て仏堂(ぶつどう)を建立(こんりう)し。観音(くわんおん)の尊像(そんぞう)を安置(あんち)せば
やと多年(たねん)心(こゝろ)に思暮(おもひくらし)けるに。延暦(えんりやく)九年 冬(ふゆ)十月 頃(ころ)一夜(あるよ)の夢(ゆめ)に。偶然(ぐうぜん)として洛北(らくほく)の
山中(さんちう)へ行(ゆき)しところ。白髪(はくはつ)の老翁(らうおう)一人 出来(いできた)り伊勢人(いせんど)に告(つげ)て曰(いはく)。此(この)山は天下 無双(ぶそう)の
霊地(れいち)にて。山の形(かたち)三 鈷杵(こしよ)に似(に)て常(つね)に五 色(しき)の雲(くも)靉靆(たなひけ)り。你(なんじ)此地(このち)に仏場(ぶつぢよう)を開(ひらか)
ば其(その)利益(りやく)広大(くわうだい)にて福(さいはひ)を得(うる)事 無量(はかりなかる)べしと示(しめ)しけるにぞ伊勢人(いせんど)大いに怡(よろこ)び
再拝(さいはい)して尊翁(そんおう)は何人(なにびと)にて在(ましま)すやと問(とひ)けるに。翁(おきな)答(こたへ)て。予(われ)は是(これ)王城(わうぜう)の鎮守(ちんじゆ)貴(き)
船(ぶね)明神(めうじん)なりと告(つげ)給ふと見て夢(ゆめ)は覚(さめ)ける。伊勢人(いせんど)霊夢(れいむ)の御 告(つげ)を感悦(かんえつ)する